ということで、８月３日より急性虫垂炎のため某済＊会病院に入院しました。
闘病記。
分解熊目次へ戻る
８月８日
今日でいよいよ退院かと思うと､朝から顔が緩んでしまう。せんせいが｢退院できそう？｣
と言うので､｢退院します」と言い切った。
せんせいが｢まあいいや､抜糸しちゃえ｣といって、ぷちんぷちんと糸を切った。
事務から請求書が回ってきて､金額に泣きそうになった。５万１４５０円なり。
病院の外のATMに行ってお金を下ろした。ボーナスに羽が生えて天高く飛翔していった。
ナースステーションに借りていたスプーンを返して、病院を出た。
久々の外の世界。
暑さでくらくら来た。
会社に顔を出したら､何人もに｢色が白くなったね｣と言われた。
そんな馬鹿な､と考えてみたら､血の気が引いているのでそう見えるのだと言う結論に達した。
家に帰って体重計に乗ったら、入院前よりも３キロも減っていた。
この身長になってからこんなに軽くなったことはなかったので、びびった。
たかが一週間でここまで弱ってしまうのね。
コンタクトをはめてまじまじと自分の顔をみたら､目が窪んでいた。
まさに病人。
退院したけど､そのまま有給をもらっておくことにする。
そしてそのまま夏休み。
ローングバケーション。
８月７日
裸眼で廊下を歩いていたら､わたしを待ち構えていたせんせいを無視してしまった。
まったく顔がわからないんだから､しょうがない。「退院どうする？｣ときかれた。どうする？といわれても
答えようがない。「と、いいますと？？？」と返したら「いや、もう退院してもいいんだけどね､と言うことなんだけど｣
といわれた。｢もちろん､退院します！！｣即答した。
午前中にMちんがやって来てマンガ､小説をかばんに一杯分持ってきてくれた。一日中読みふけってみた。
夕飯が終わってしばらくしたらセンター長（上司）が来た。
一揃い話をして､最後に｢ここ､景色ええなあ！」と言って帰っていった。
あまりに次々にお見舞いに来てもらってしまって､あとが怖いなあと思わず考え込んだ。
仕事復帰したら､仕事で倍返しか。とにもかくにもみなさまありがとう。
８月６日
｢いっぱい歩いてくださいね｣そうせんせいが言って去っていった。お言葉どおり動き回ってみる。
それにしても､元気になってくれば来るほど暇だということがわかった。やっと点滴も外れた。
腕にぶつぶつと跡が残った。｢血管探しのIさん」がいなければ、この腕はもっと悲惨なことになっていたに違いない。
食う､寝る以外することがない。お風呂も入れないし、化粧だってしない。やっと便が出た。
しかも、緑色。びびった。でもまあいいやと思って特に何もしなかった。
売店で買った雑誌も３回くらい読んでしまった。
向かいのベッドのおばあちゃんから女性週刊誌を借りた。それでも、ひま。
れいこも帰ってしまった。暇を持て余して友達に電話する。
｢ご飯なんて食べて、傷口から漏れてきたりしないの？？｣といわれた。そんなことあるわけない。
面会時間が終わる直前に同期たちが見舞いに来てくれた。
こんなに人間がありがたいと思ったことはなかった。
お土産に栄養ドリンクをもらった。
８月５日
ついに今日からご飯解禁だ。｢期待しないほうがいいよ｣とのお言葉どおり、
朝は味噌汁の｢しる｣と、重湯と､牛乳だった。そんなに水分与えてどうするんだと言う感じのメニュー。
緊急入院だったので誰も説明してくれなかったけど､箸スプーンコップは持参しなければいけないシステムだったようだ。
スプーンをナースステーションで借りて､事なきをえた。
食べて､また寝た。せんせいに｢便は出た？」と聞かれて「いいえ」と言ったら「まあいいや」といわれた。
だったら聞くな。と思ったがまあ、それが商売なんだからしょうがない。傷も痛くないので油断してくしゃみをしたら､
ものすごく痛かった。
反省。
寝て起きたら人事のYさんが目の前に立っていた。不意打ちにびっくり。Yさんは
わたしが術後２日で既に動き回れることにびっくりしていた。｢わたしが小学生のころは盲腸と言っても
１週間くらい安静だったわよ！」とのこと。時代は進むのだ。
Yさんが去ったあと更にTさんがきた。やっぱり動けることには驚いていた。
このくそ暑い中やってきてくれたということを非常にありがたく思った。
８月４日
朝、せんせいがガーゼ交換に来た。こうゆうシステムになっているのか、となんとなく納得した。
歩いていいよと言われたので、とりあえずトイレに行こうとして立ち上がったら、傷口に激痛が走った。
おなかすいたのにご飯は明日から、と言われた。母れいこに家から着替えを持ってきてもらう。
ついでに保険証券も持ってきてもらった。よくよく読んだら、傷害保険しかついていなかった。
不覚。れいこと一緒に売店でパジャマを買った。
紳士Mと言うのを買おうとしたられいこが「それでいいの？小さくない？｣
とのたまった。
自分の娘がそこまで巨大だと思っているのだろうか。売店ですれ違った外科の看護婦さんに
「そんなに大きかったんだねえ！昨日は気付かなかったよー｣と言われた。
れいこに部屋の窓の修理と新聞を止めるのとかを依頼して､あとは一日中寝ていた。
いくらでも寝れる。
８月３日 夜
手術後、しばらくしてから親も到着した。「やあやあ、ご苦労様。びっくりだったね｣
といったら「ああ、びっくりしたよ」と言われた。そのとおり。
麻酔が徐々に覚めてきて､そうこうしているうちに尿意を催した。
でも、出ない。管まで入れられたけど､出ない。
出したいのに出ないというのがどれくらい辛いのかが良くわかった。
しばらくしたら、でた。麻酔のせいだったのかも知れない。
夜中にガスがでた。ガスと一緒に中身まで出た。
屈辱的だった。でも、そんなのももうどうでも良くなってしまっていた。看護婦さんになされるがまま。
病は､おそろしい。熱が出て傷も痛んだので、座薬も入れてもらった。怖いもの無しの気分。
８月３日 昼
紹介状を持って病院に行ったら､受付で｢熱が高いみたいだし､処置室のベッドで順番まで寝てていいよ｣
と言われた。
看護婦さんたちのいろいろな愚痴がきこえた。彼女達も忙しそうだった。
あんまりしんどいんであたまから布団をかぶってじっとしていたら、「ちょっと、この９度で下痢の患者、＜まちがいない＞から
さっさとオーダーを外科にまわしたほうがいいんじゃない？？｣
と言う声が聴こえた。
わたしのことかい？と思う間もなく診察順番無視で医者がやって来て、ぽんぽんとおなかを叩きはじめた。
おへその右を叩かれたときにはとても痛かった。
「いて」といったら、「こりゃあ、まちがいない」とその医者も言った。
｢誰かすぐに駆けつけられる家族の方いる？」と言われた。なんだなんだなにがはじまるんだ、そうおもったら泣けてきた。
｢オペかもだから｣といわれ、血を採られ、車椅子に乗せられてレントゲンに向かった。
そのまま外科に連れて行かれた。
またおなかを叩かれた。｢急性虫垂炎にまあ間違いないだろうから､手術するけど、いい？」
と聞かれた。
｢手術しないってのは有りなんですか？｣と聞いたら「押さえつけてまではしないよ｣と返された。
覚悟を決めた。実家に電話してオペの承諾をとった。電話に出るために立ち上がったら、
せんせいが｢キミ、大きかったんだ―｣といまさらながらの発言をした。
そのあと心電図係までやって来て､何年かぶりに心電図をとった。
なにやらわからぬままに手術着に着替えさせられて､あれよあれよと言う間に手術台に運ばれそうだったので､あわてて
｢会社に電話させてください｣と電話に向かった。上司が「あれまあ」と言った。
まったくそのとおり。
そのあと、家族構成から趣味までアンケートをとられ、その傍らで点滴を刺され筋肉注射までした。
点滴はなかなか刺さらなかった。｢血管探しのIさん」と言う人が３人目に現れて､本当に刺して帰っていった。
見事だった。
血管探しの間にテイモウされてしまった。
切れ味のかなり悪いかみそりでじょりじょりとやられた。もう、勝手にしてという気分だった。
一揃い準備が終わって、すぐに<会場>に向かった。寝たまま運ばれると言うのは変な気分だ。
途中で普通のベッドから手術っぽいやつに移しかえられた。
その台を手術室に運ぶときにスヌーピーを一匹ひき殺した。
看護婦さんたちは「ああ！スヌーピーのオペをしなきゃ！！｣と言っていたけど外科のせんせいは｢ああ！病院が
傷ついたよ！｣
と、床の心配をしていた。
脊椎に注射をされて、手術が始まった。注射は痛かった。麻酔はすぐに効いた。
息をするのもなんだか苦しかった。「だいじょうぶですかあ？」ときくので｢息苦しいです｣と言ったつもりだったのに、
なぜか声が出なかった。
｢最近こんなんばっかりだな｣とせんせいたちが言っていた。どうやら、盲腸なんて片手間の仕事みたいだった。
病院の世間話をしながら､みんなでのほほんとわたしの腹を刻んでいるようだった。
もっとも、息をするのが精一杯で､こちらはそれどころではなかった。
途中でなぜか「む」という声が出た。
「どうしたの？」と言うので「勝手に声が出ただけです｣といったら､笑われた。
手術が終わる頃になってがたがた震えはじめた。
摘出した虫垂を見せてもらった。「ほら、やっぱり炎症起こしてたよ｣と満足げに言われたけど何がなんだかわからなかった。
８月３日 朝
朝を待って一番近い病院に電話した。予約は８時からだと言うので、待ち時間用の本まで持っていったら､
予約表に名前を書いたら一旦帰宅するシステムだった。
なんとか持ちこたえて､９時半にもう一回病院に行った。会社にも｢カゼみたいなので休ませてください｣といっておいた。
医者に熱と下痢と言ったらすぐに「盲腸かもね｣といわれた。とりあえず、ということで水分補給用の点滴をしてもらった。
点滴中にもトイレに行きたくなって大変だった。
そのあとで超音波のようなもので盲腸あたりを探られた。
｢紹介状書くからすぐに大きい病院行きなさい｣といわれた。｢電車で行くんですよねえ？｣と
場所を確かめたら、｢タクシー呼びなさい。」とたしなめられた。
８月２日
朝起きたら、熱が下がっていた。下がっていたけど７度５分くらいあった。
微妙だったけど､まあなんとかなるだろうと会社に行った。下痢のせいで何度も何度も
トイレに行った。
今日もさっさと帰るつもりだったけど､仕事に引っかかって７時になってしまった。
終わってなかったけど､しんどいので帰った。
寝る前に８度を超えていたのでやばいかなと思ったけど、とりあえず寝た。
すぐに目がさめて、熱を測ったら９度丁度くらいあった。
熱くて寝られないので、いろいろと即興で熱の歌を作って歌った。
全て合唱曲。一人でハモリパートをした。
３時過ぎに９度５分になったので､そろそろ救急車を呼んでもいいかなと思ったけど､
税金の無駄遣いかなと思ってやめた。
その代わりに保険会社の｢健康相談サービス｣に電話した。
水分を取ってがんばってくださいと言われた。
一口飲むごとにその何倍もの下痢になった。
ひからびそうだった。
８月１日
それは、午後一時ごろ突然襲ってきた。
いきなり､下痢と悪寒がやってきて、仕事どころではなくなってしまった。
むりやり定時まで仕事して､５時４０分には家路についた。
カゼだろうと見当をつけて薬局で｢悪寒と下痢と関節痛と熱に効く風邪薬ください｣
と言ったら、総合感冒薬を渡された。３本１０００円のドリンク剤も買って,
７時には布団に入った。熱３８度７分